ホワイトペーパーのメリットをセールス視点で解説
今回の記事では「ホワイトペーパーの活用メリット」をセールス視点で解説していきます
ホワイトペーパーというのは、企業が自社の顧客に対して有益な情報を提供するWEB上の資料のことです
近年は特にBTOBマーケティングの業界で注目されており、活用する企業も増えてきています
FA(ファクトリーオートメーション)企業でもキーエンスやオムロンをはじめとして多くの企業が取り入れています
活用されることが増えている一ホワイトペーパーですが、その活用例の多くはマーケティング目線の解説となっています
ホワイトペーパーは営業・セールス部門にとっても価値のあるものですので、今回は営業目線に特化して解説していきます
ホワイトペーパーって何?
企業が自社の顧客に対して有益な情報を提供するWEB上の資料がホワイトペーパーです
具体的には次のような資料が使われていることが多くあります
- 課題解決事例集
- 用語解説
- 業界解説
- 工程解説
- 導入事例集
- 分析・同行データ資料
ホワイトペーパーはあくまでも「顧客が知りたいこと」を優先して作るようなイメージになります
顧客の「興味」「関心」「欲求」「課題」「心配」などを満たすような資料を公開することで顧客の情報を入手するために使われる資料がホワイトペーパーです
ホワイトペーパーをダウンロードするために顧客情報の登録をしてもらうようにしておくことで、企業が顧客の「名前」「部署」「連絡先」「関心ごと」など を把握する役に立ちます
顧客の属性をダイレクトに収集できるので、セールス以外にもマーケテイングの検討材料としても非常に役立ちます
同じ営業資料でも「売り手側が伝えたいこと」を優先する提案資料やカタログとは、方向性が異なる資料だと言えるでしょう
資料を見たら即連絡は意味がある?
キーエンスは「資料をダウンロードしたらすぐに連絡が来る」という噂で有名です
「顧客が資料を見た」という情報は、どの程度セールスで活用出来るものでしょうか?
メーカーがWEB上で公開している資料には次のようなものがあります
- ホワイトペーパー
- 製品仕様書・データシート
- カタログ
「セールス視点での活用のしやすさ」は資料によって異なるのですが、特にホワイトペーパーは営業が活用しやすい資料のひとつだと言えます
では、ひとつずつ解説していきます
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーのダウンロード情報は営業視点で非常に活用しやすい情報です
ホワイトペーパーのダウンロード情報は顧客の「興味」「関心」「欲求」「課題」「心配」など 顧客が知りたいことをダイレクトに反映している情報です
顧客が自分の情報をWEBサイトから登録して「部品検査の課題解決事例集」をダウンロードしていたとすると次のような仮説が立てられます
- ダウンロードした資料の内容
部品検査に関わる仕事をしていて、実現出来ていない課題がある - ダウンロード時に入力した顧客情報から
会社、部署から業界と検査への関わり方が推測できる
例:○○金属株式会社(WEBから金属部品製造)製造部○○製造課(製造工程内や抜き取り検査用)
ダウンロード情報だけですが、顧客が金属部品の製造工程内で何かしらの検査をしたいことが読み取れます
更に、この顧客が「ネジ製造の検査課題事例集」や「画像処理装置のカタログ」、「インライン検査のコツ」というような資料をダウンロードしていれば、もっと顧客の興味を絞り込むことが出来ます
「この顧客はネジ製造の製造部門の顧客で工程内で検査の自動化をしたい顧客だ」というところまで予測が立ちます
そこからはネジ製造の顧客が工程内で検査を自動化するための製品情報を準備して、ホワイトペーパーの内容に沿ってアプローチすれば良いだけです
顧客としても自分が「顧客情報を登録して資料をダウンロードした」ということを分かっているので、アプローチした時にスムーズに実商談に進むことが出来ます
ホワイトペーパーの場合は特にダウンロードしてからどれだけ早くアプローチ出来るかが重要なポイントになります
顧客は次々に様々なキーワードで検索しながら、各社のサイトを巡回していきます
他社に興味を持たれるために自社の商談に引きずり込むためには早さが必要になります
顧客の興味も時間経過で冷めていくので、ダウンロード後は即顧客へアプローチすることが重要になります
ダウンロードしているホワイトペーパーが大枠であればるほど、やりたいことはあるがやり方のイメージが固まっていない傾向にあるので、提案営業で囲い込むこともしやすくなります
製品仕様書・データシート
製品仕様書・データシートは製品のスペックについて特化してまとめられている資料です
FA機器業界では製品のセールスポイントではなく、製品の仕様や寸法、準拠している規格、注意事項だけをまとめたようなものが製品仕様書とデータシートと呼ばれます
製品仕様書・データシートをダウンロードする顧客は使う機器が具体的決まっていて、営業をせずとも自社の製品の採用がされるところまで進んでいることも多くなってきます
ただし、採用段階での他社比較や旧製品からの置き換え検討としてダウンロードしていることもあります
営業からアプローチとしては
- 既に自社製品の採用が決まっていた場合
使い方や選定理由を確認して、採用情報として活用する。他社に流れないようにフォローする - 他社比較での検討していた場合
比較して検討している理由を確認して、顧客の迷いを解消するようにアプローチ - 旧製品からの置き換え検討だった場合
古い製品から問題なく置き換えられるかフォローしながら他にも置き換え時期が来ている製品がないか確認を入力
というような活動に活用することが出来ます
特に他社比較のタイミングであれば、営業の活動により他社採用から自社採用に引き込むことも出来ます
旧製品からの置き換えは他社製品に置き換えされやすいタイミングでもありますので、採用維持のための働きかけが出来ることにも大きな意味があります
他社採用が固まってからフォローしても遅いので、こちらも早めにアプローチするに越したことはありません
カタログ
イメージとしてはホワイトペーパーと仕様書の中間の資料がカタログです
「使う製品のイメージはあるが、具体的なメーカー・型番までは決めていない。各社の仕様・機能の違いもはっきりとは認識していない」という属性の顧客も多くなってきます
「光電センサを使おうとは思う。しかし、各社の製品がどんなものかはきちんと把握していないのでとりあえず概要をカタログで確認する」というような顧客の割合も増えてくるのです
この段階の顧客はメーカーにとってPRしたい製品の強みを認識していないことも多くなります
そこで、営業側からのアプローチで製品の特徴がきちんと生きるように誘導することで決着確度を上げることが出来ます
やりたいことのイメージがあるものの、やり方や使おうとしている製品が最適なものになっていないこともあるので、コンサルティング営業に持ち込みやすい顧客でもあります
情報収集目的の顧客もいるので外してしまうことも増えますが、早めにフォローすることでそのまま商談に持ち込める可能性も十分にあります
ホワイトペーパーをセールスに繋げるには?
ホワイトペーパーのダウンロード情報を使って効果的な営業をするためには3つのポイントがあります
- 即フォローする
- ホワイトペーパーの話題から入る
- 話題は製品よりもやりたいことを優先
ひつつずつ確認していきましょう
即フォローする
ホワイトペーパーだけではありませんが、資料のダウンロードで得られたリードは出来るだけ早くフォローした方が効果が上がります
大きな理由は「顧客熱が冷める前に拾い上げるため」と「自社に有利な状況で進めるため」です
顧客の「やりたい熱」が1番高いのは検討しているタイミングです
そのタイミングであれば、顧客での重要度が高かったとしても1ヶ月もすれば重要度は下がってきます
他に更に重要な案件が入り、優先度が下がることもあります
また、競合比較をしている顧客や競合にも相談している顧客の場合は、先に顧客を巻き込んでおくことも重要です
競合が参入した後では、どうしても競合との比較を前提に評価されるため商談を進めるにしても、価格設定をするにしてと不利になります
顧客の欲求を即フォローすることで、自社が顧客のやりたいことを形にしていけると貢献度が高くなり、販売価格や利益を大きくしやすくもなります
ホワイトペーパーの話題から入る
特に「画像処理の課題解決事例集」のように、資料のテーマが絞り込まれているものであれば、最初のアプローチはその資料のテーマに沿った話題で行いましょう
中にはホワイトペーパーの中身と全く違う内容で、自分本位のセールストークを始める営業マンもいます
しかし、ホワイトペーパーのリード情報がある場合は相手の興味の対象が絞られているので、その内容から入ると空振りしづらくなります
また、ホワイトペーパーをダウンロードしている顧客の中には製品を認知していない顧客も多くいます
そのような顧客にはホワイトペーパーの中身に関わるものであっても製品の型番やシリーズ名、機能の話をしても理解してもらえませんし不信感を持たれやすくなります
まずは相手も覚えている顧客がダウンロードしたホワイトペーパーの話題から入り、徐々に話題を広げていくようにしましょう
話題は製品よりも顧客のやりたいことを優先
ホワイトペーパーのダウンロード情報から営業をかける時は、製品のPRよりも顧客のやりたいことのヒアリングを優先しましょう
顧客が興味のあるのは製品ではなく、ホワイトペーパーで取り上げているような課題の解決という「内容」の方です
顧客にアプローチするときも、まずはホワイトペーパーの話題を引き合いにして「顧客のやりたいこと」を引き出すようにすることをおすすめします
顧客にやる気があり、実現したいことであれば顧客の状況や実現したいことを聞き出すことは比較的容易に出来ます
製品提案は顧客の叶えたい欲求や知りたい関心を把握してから、その欲求を叶えるための提案として持ち込むようにしましょう
ホワイトペーパーのリードの中には「とりあえずダウンロードしたが思っていたのとは違った」という顧客も一定数います
最初に顧客の要望や興味を確認することで、そのような自社のターゲットから外れる相手には踏み込まずに効率的に営業ができるというメリットもあります
ホワイトペーパーは営業にとっても有益
ホワイトペーパーなど 顧客が資料を取得した情報は営業にとって有益な情報です
しかし、実際の営業現場では積極的に活用されていないことも多い情報でもあります
- そもそも営業に情報が回ってこない
- 回ってきても、営業現場では押し付けられた仕事として形だけの顧客連絡をして終わりになっている
という場合もかなりあります
更にFA機器業界のように代理店販売が主流の業界では、本来なら最も情報活用がしやすい実際に顧客に出入りしている代理店の営業マンに情報が渡りません
きちんと運用出来れば、商談のチャンスを増やすものではありますが営業現場とマーケティング部門の連携には課題が残る会社が多いのではないでしょうか
そのようや会社では、まずは情報共有が可能な範囲から、一方的な押し付けではなく協業しながらの顧客攻略活度として浸透させていく必要がありそうです